無理をしない働き方へ。”分院譲渡”という選択

目次
・無理せず続けるために “譲る” という選択
・出会いに恵まれるも、残った後悔
・満足のいく譲渡を。経験者としてのアドバイス
無理せず続けていくために “譲る” という選択
―病院を譲り渡そうと考えたきっかけを教えてください
譲渡を考えたきっかけは、年齢に伴う体力の低下でした。
特に、人員のマネジメントが大変になりました。例えば欠員が出た場合、若いころは自分でカバーすることができていましたが、60歳近くになると体力的に負担を感じるようになっていました。
―譲渡を考え始めて、最初に何から準備を始めましたか?
譲渡を意識し始めた頃、2017年から2019年まで海外で過ごす機会がありました。その期間に、「少し仕事のペースを落として、プライベートの時間を増やしてもいいな」と思うようになりました。その実現のために、まず分院を譲渡して仕事を減らすことを検討しました。
行動を起こしたのは、帰国直後の2020年あたりです。あまり知識がなかったので、事業承継についての情報収集をすることから始めました。
インターネットで情報収集をしたり、複数のM&A仲介会社から話を聞いたりしましたが、すぐには交渉がまとまらないだろうと、譲渡実行まで時間がかかる覚悟をしていました。
―A-BRAINとの出会いを教えてください
偶然、A-BRAINさんの担当者からご連絡いただいたのがきっかけでした。それまでM&A仲介会社に相談はしていましたが、そちらでは私の希望としていた分院だけの譲渡ではなく、2院まとめての売却を勧められていました。
そのなかでA-BRAINさんは、初めから私の意向を丁寧に聞いて下さり、分院だけを先に譲渡する方向でお話を進めてくださいました。
出会いに恵まれるも、残った後悔
―譲渡を相談するにあたって、不安だったことや苦労されたことはありましたか?
一番気がかりだったのは、本院と分院の距離の近さです。
新しい院長には極力ご迷惑をおかけしないこと、そして患者さんにもご理解いただくことが必要だと思っていました。
また、譲渡後の病院に残るスタッフと設備についてもスムーズに交渉が進められるように努力しました。
―奥様をはじめ、ご家族にもご相談されたと思いますが、その時の反応はいかがでしたか?
完全に全てを譲渡して仕事を辞めるというわけではなく、本院で診療を続ける予定でしたので、大きく生活が変わることはないだろうと、不安はありませんでした。
家族は皆、分院の譲渡に賛成してくれました。
―買い手の先生に求めていたことはありますか?
落ち着いた姿勢で、穏やかな雰囲気で患者さんとスタッフに接してくれる人を求めていました。宮原先生(買い手)は、第一印象からその点の心配はありませんでした。それに加えて譲渡後の運営に備えて準備している時、手術室の蛇口の位置までにこだわっていた姿が印象的でした。そのような姿を見て人柄の良さだけでなく、仕事に対する誠実さと熱意が感じられ、素晴らしい方だと思いました。
―引き継ぎのために譲渡実行後に2ヶ月間、新しい院長先生と一緒にお仕事されていましたが、どのような思いで2ヶ月過ごされましたか?
この2ヶ月間は、新しい院長先生の引き継ぎと同時に、患者さんへ院長の交代をお伝えする大切な期間だと思っていました。
思い返すと、限られた期間で全ての患者さんにお伝えするのは難しく、結果的に周知が行き届かなかった点は心残りです。
満足のいく譲渡を。経験者としてのアドバイス
―宮原先生に引き継がれて診察が本院だけになってから、どのような変化がありましたか?
譲渡後は週に2,3日働けたら良いなと思っていましたが、本院の獣医師が退職したため、譲渡後も週7で働くほどの忙しさでした。
一時期は診察時間を短縮しようと考えましたが、ようやく最近は落ち着いてきたので、プライベートの時間も取れるようになりました。趣味の釣りも楽しめています。
―振り返ってみてA-BRAINはどのような点で役立ちましたか?
繰り返しになりますが、私としてはまず、分院だけを譲渡し、本院はもう少し続けたいという考えをもっていました。
そのなかでA-BRAINさんは、初めから私の意向を聞いて下さり、どうすれば希望通りに近い形で譲渡できるかを一緒に考えてくれました。良い買い手の先生とも巡り合い、コンタクトを取ってから約1年で無事に成約まで進めることができました。
結果として、希望していた通りに分院の譲渡が実現し、本院もこれまで通り続けられています。自分の想いをきちんと汲み取ってもらえたことが譲渡の成功に繋がったと思います。
―最後に、引退をご検討されている院長先生にメッセージをお願いします。
患者さんへの説明はしっかり時間を取って行うことをおすすめします。また、仲介会社の選び方も重要だと思います。今は会社によって料金体系やサポート内容が本当に様々です。着手金が必要なところもあれば、成約するまで費用がかからないところもありますし、担当者の方針や得意分野にも違いがあります。ひとつの会社だけで決めずにいくつか話を聞いてみるのが良いと思います。
信頼できるところを見つけることで、あなたにとって良い承継ができると思います。
ご引退の仕方は人それぞれです。
そのなかで、加藤先生の「分院の譲渡後、自分のペースで本院での診療を続けたい」という理想を実現すべく、ご一緒できたことは我々にとっても大変光栄です。
加藤先生も仰る通り、仲介業を行う会社は多数ございます。
経営活動の集大成とも言える事業承継を、納得のいく形で締めくくれるよう、信頼できるパートナーとなる仲介会社をしっかりとお選びいただければと思います。

