【大阪→東京】遠方でのM&A ネックになるのは距離ではない!必要なのは不安を受け入れて進む覚悟

目次
・飼い主さんに寄り添う医療を自分の手で。将来を見据えた承継開業
・全てを解決しようとしない。自分なりのやり方で進める承継
・経営体制のスムーズな移行を支えた、継続的なサポート
・米田先生からのメッセージ
飼い主さんに寄り添う医療を自分の手で。将来を見据えた承継開業
―開業したきっかけを教えてください
もともと学生の頃から開業志望でした。
本格的に考え始めたのは、獣医師5年目に結婚したタイミングです。
獣医師の世界でも「終身雇用」という言葉が少しずつ聞かれるようになってきましたが、実際には退職金や老後の資金がしっかり整備されているわけではないことに気がつきました。このまま勤務医として年齢を重ねた時に、金銭的な安心感が持てないのではないかと感じたのが大きな転機でした。
病院を持つこと自体が資産になり、その資産のおかげで自分の精神面での安定、そして家族の安心にも繋がると思い、本格的に開業について調べることになりました。
―開業するにあたって、どのような病院像を目指しましたか?
新卒で勤務していた病院で掲げられていた「飼い主さんに寄り添い、自分たちができる限りの治療を提供する」という理念に深く共感していて、自分ができる最大限を提供し、患者さんに安心してもらえる病院を目指しました。
―病院選びではどのような点を重視しましたか?
病院を選ぶ際には、「既存の売上」と「立地」の2点を特に重視していました。
既存の売上がしっかりしていれば、承継後も飼い主さんに通っていただきやすく、自分の診療スタイルを通しても自然と利益を生み出せると考えていたからです。
そのため、医療設備については自分で少しずつ整えていけば良いと思い、あまり重視しませんでした。
立地に関しては、開業準備時に第1子を授かったこともあり、子育てがしやすいように妻の実家に近い関東圏をターゲットにしていました。ただ、関東圏の中でも首都圏の競合エリアは避け、安定した集客が見込める郊外エリアを探していました。
また、地域特性という観点からも関東を選んだ理由があります。関西では1次病院と2次病院の役割が曖昧なところがある一方で、関東ではその区分が明確で、うまく連携できる環境が整っていると感じていました。重症例や特殊な症例以外は自院でしっかりフォローすることができるので、飼い主さんの視点に立つと、ペットの状況をずっと分かってくれている獣医師ができるので安心、病院経営者の視点に立っても、飼い主さんに再来していただけることが安定的な経営に繋がり安心。このようなイメージができたのも関東圏を選んだ理由です。
―開業を考えてからどのように準備を進めていきましたか?
自分の開業資金を形成することと資格を取ることから始めていきました。資格に関しては獣医師2年目から勉強していました。資格を持っていると、飼い主さんに対して明確に自分の強みを示せるので、少しでも有利に病院経営を進めるための武器として取得を目指してきました。
譲渡前に画像診断の資格が取れればよかったのですが、時間の問題と資格取得が複雑化してしまい、結局取れずに終わってしまいました。
現在は、がんと泌尿器の認定医を目指して勉強しています。
全てを解決しようとしない、自分なりのやり方で進める承継
―大阪に勤務しながら東京での開業となりましたが、遠方での開業準備はどのように進めていきましたか?
正直大変でした。
しかし、良い情報が入ったらすぐに動き出せるようにし、遠方ということは気にしない気持ちで動いていました。
また、当時働いていた病院は休みが固定でしたので、その日に合わせてスケジュールを調整し、最短で現地に向かうようにしていました。
―新卒で勤務していた病院が関東にありますが、当時お世話になっていた院長や先輩から情報提供はありましたか?
新卒の時にお世話になっていた院長が八王子市(東京都)で仕事をしていたので東京の土地について聞いていました。
私は東京の土地勘がなかったので、東京で病院経営している方にアドバイスをいただけたのは助けになりました。
―承継を進めるなかで心配事はありましたか?
きちんと資金繰りができるかは心配でした。
他の方の話を聞くと、開業するなら4000、5000万程度の資金で行うところ、今回はその1.5倍程でしたので、大きい金額を動かすことには不安を感じていました。
また、一度銀行融資の承認が下りなかった時は、このまま同じように他行での融資を続けて大丈夫なのか、自信はありませんでした。
―それらの不安はどのように解消していきましたか?
不安を全て解消していくというよりも、正直、不安を抱えたまま進めていったというのが本音です。
そのなかで、担当の方が丁寧に話を聞いて下さり、どのように進めればスムーズにいくのか説明して下さったり、他の病院を承継した場合のケースなど様々な選択肢を比較しながら説明いただけたことで、不安のなかでも勇気をもらいながら進めることができました。
―事業承継を経て、勤務医から院長への立場が代わり、私生活では子育てが始まりました。怒涛の数ヶ月だったと思いますが、当時の心境を教えてください
正直疲れましたね(笑)
しかし、一喜一憂しながらがむしゃらにやっていました。
自分のことより、まず残ってくれたスタッフさんが働きやすい環境作りにフォーカスしました。初めに大変なところはないかと色々聞き、コミュニケーションを取ることを重視した結果、今ではスタッフさんの方から積極的に意見を出してくれるようになりました。
経営者一般はもちろん、特に承継した直後の院長は、スタッフさんとのコミュニケーションを取ることが大切だと、身をもって強く感じています。
経営体制のスムーズな移行を支えた、継続的なサポート
―承継してから滑り出しはいかがですか?予想通りだった点・予想外だった点を教えてください
事業計画通りに上手く進んでいると思います。
良い意味で予想外だったのは、思ったより患者さんの引き継ぎがスムーズに進んだことです。
前任の院長先生と一緒に働く期間を数ヶ月ほど設けていたので、シフトチェンジがうまくいったのかなと思います。また、前任の院長先生が突然お辞めになるのではなく、勤務日数を徐々に減らしていくことで、飼い主さんのご理解をいただきながら進めることができました。
―A-BRAINはどのような点で役に立ちましたか?
何かあったときにすぐ相談できたのは、とても心強かったです。
成約して終わりではなく、その後も継続的にコミュニケーションを取れる関係性が築けたことで、安心感がありました。
やはり、1人で病院経営を担うのは不安も大きいものです。
そのようななかで、気軽に相談できる相手が増えたことは大きな支えになりましたし、勇気をもって前に進むことができた理由の1つだと思います。
米田先生からのメッセージ
―これから新規開業や承継を考えている獣医師の方に一言お願いします
強い覚悟をもって進んでいけば良いと思います。共に成長し続けられるように努力していきましょう!
米田先生のお話を伺いながら、強く印象に残ったのは「不安を抱えながらも、1歩1歩前に進む姿勢」でした。
承継開業は、獣医師にとって大きな決断です。
理想や夢だけでなく、資金計画、家族の生活、スタッフとの関係、地域との相性など様々な要素が複雑に絡むなかで、「今自分ができる最善」を積み重ねてこられたことが、現在の安定した運営へと繋がっているのだと感じました。
これから開業や承継に挑む獣医師の皆さまにとって、米田先生の経験が1つの指針となり、勇気の源になればと思います!